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a compendium of season words
こうら歳時記 vol.1

北落の端、田んぼのなかにひっそり佇む野神社。この日の夕刻は住民が集まり賑やかだ。集落で刈り取った麦を束ねて、魔法のほうきの穂先のようにして作った藁束が並べられる。17時に社のロウソクから点火されると、瞬く間にバチバチと音とたて火が勢いづき大きな炎となる。すぐさま藁束にくくりつけられた1m程のヒモの先を片手で持って、体の周りでぐるんぐるんと大きな円を描くように回す。まさに火まわし。燃え盛る火の玉が舞う。大人も子どもも順番に、一人で回したり二人で一緒に回したり。何にも動じず回す大人はかっこいい。怖がらずに回す子どもは勇ましく、怖がりながらも大人と一緒に回す小さい子は健気だ。皆んな感心したりハラハラしながら見守る。この神事は甲良町内では北落唯一、全国でも珍しいようだ。発祥は不明だが江戸時代ではないかと考えられている。先祖の魂の送迎説や、稲につく害虫を駆除して豊作を祈願する虫送り説。また田植えが終了した後の体を休める日「野止め」の、娯楽としての力自慢大会という説も。地主が米一俵を賞品にした時代があったとか。昭和初期にはそれぞれの家の子どもが藁束を、燃焼時間が長くなるよう芯を工夫するなど当日まで密かに作り、その大きさや炎で度胸を競い合ったという。米どころで発祥した伝統の火は受け継がれ、住民が集い楽しむひとときが今も大切にされている。

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北落の火まわし
7月第1日曜日/野神社